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- 6 放射線計測ガイド
- 6-2 放射線計測の基礎
- 6-2-1 放射線とは
- 6-2-1-2 β線
6-2-1-2 β線
- 1. α線
- 2. β線
- 3. 軌道電子捕獲
- 4. γ線
- 5. 自発核分裂
- 6. α線と物質との相互作用
- 7. β線と物質との相互作用
- 8. γ線と物質との相互作用
- 9. 中性子と物質との相互作用
- 10. 荷電粒子による核反応
- 11. 放射線の量と単位
安定な原子核よりも中性子が過剰である原子核は、電子を放出してβ壊変する。あるいは陽子過剰の原子核は、陽電子(β+線)を放出する。両者を区別して特に前者をβ-壊変、後者をβ+壊変と呼ぶことがある。β壊変では同時に中性微子(ニュートリノ:¯ν )が放出され、エネルギーがβ線とニュートリノで分配されるため、β線のエネルギーは図2.1.2 に示すように分布する。ニュートリノは電荷を持たず、物質とほとんど相互作用しないため、通常は観測されない。β線の最大エネルギーは核種ごとに値が決まっている。この最大エネルギーは、核種によって大きく異なり、小さいものとしては3Hの18.6keVや63Niの66.9keV、大きいものとしては90Yの2.280MeVなどがよく知られている。親核種がAZXであるとき、β壊変では(2.2)、(2.3)式のようになる。
βー壊変 | (2.2) | |
β+壊変 | (2.3) |
ここで,¯νは反ニュートリノといい、ニュートリノの反粒子である。
β-壊変は原子核内の中性子が陽子に変換することであり、逆にβ+壊変は陽子が中性子に変化する。β-壊変は、中性子の過剰な核が安定になろうとして、過剰な中性子が不足している陽子に変化するものである。β+壊変では逆である。β壊変では質量数に変化はなく、β-壊変では原子番号が1増え、β+壊変では原子番号が1減る。
図2.1.2 β線のエネルギースペクトル