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6-3-2-6 個人線量計
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個人線量計は、個人の被ばく管理に使用されるもので、男性は胸に、女性は腹部に装着して使用する。個人線量計は、測定値を直読できるアクティブ形と測定後に読取装置にて指示値を読み取るパッシブ形の2種類に分類される。アクティブ形は検出器、測定回路、表示回路が一つになり、電池(一次電池または二次電池)で動作するものである。検出器は主に半導体検出器が使用されている。パッシブ形は指示値の直読はできないが、常時装着し、定期的(1ヶ月毎)に指示値の読取を行うもので、ガラス線量計、熱ルミネセンス線量計(TLD)、OSL線量計等がある。
(1) アクティブ形
直接指示値が読み取れるもので、主に電子式個人線量計を指す。電子式個人線量計は、主に検出器には半導体検出器を使用している。市販の電子式個人線量計の電源は電池で主に一次電池が多く使用されている。表示器に測定値が表示されているため、現在の被ばく線量が一目で読み取れる。また、警報機能を持ったものもあり、あらかじめ設定された積算線量値を超えると警報音で知らせることがきる。
(2) パッシブ形
パッシブ形の個人線量計はある一定期間の積算線量を測定するのに使用される。また、その場で積算線量を読み取ることはできない。パッシブ形の線量計は電池交換が不要、小型・軽量で、1ヶ月間または3ヶ月間の積算線量の記録に適した線量計である。
1) ガラス線量計(RPLD:RadioPhotoLuminescence Dosimeter)
銀活性化リン酸塩ガラスに放射線を照射し、その後紫外線で刺激すると照射した放射線量に比例して蛍光を発する性質を利用した線量計である。
現在実用化されている蛍光ガラス線量計は、個人被ばく測定用(ガラスバッジ)、手部等の局部被ばく用、環境測定用、診断・治療線量評価用がある。いずれも検出子に銀活性リン酸塩ガラスを用いた蛍光ガラス線量計で、Ⅹ・γ線およびβ線について、0.1mSv~10Sv程度まで測定できる。ガラスバッジは、2000年頃から従来のフィルムバッジに替わる新たな個人線量計として普及してきた蛍光ガラス線量計である。ガラスリングは手部等の局部被ばく測定用としては使用されている蛍光ガラス線量計である。また、蛍光ガラス線量計は、原子力施設周辺の環境モニタリングや、Ⅹ線室、RI施設などの作業環境モニタリング、管理区域境界の空間線量モニタリングに、超小型の蛍光ガラス線量計が、診断・治療線量評価用に使用されている。
図 3.2.6-1 ガラス線量計の例
2) 熱ルミネセンス線量計(TLD:Thermo Luminescence Dosimeter)
硫酸カルシウムなどの結晶の蛍光物質に熱を加えると吸収された放射線量に比例して発光することを利用した線量計である。熱ルミネセンス線量計の蛍光体の加熱に薄型エレメント構造に基づいた光加熱方式を用いた線量計およびリーダからなる線量測定システムの構成例を図3.2.6-2に示す。
赤外線ランプ等からの赤外線を線量計のエレメントの基板に照射し、基板はそれを吸収して温度が上昇、蛍光体も加熱される。蛍光体は、約350 ℃程度迄昇温される。
蛍光体の加熱により発生した微弱な熱蛍光の検出にはフォトンカウント方式が用いられる。光電子増倍管からの出力信号は波高弁別器によって信号パルスとダークノイズに区分され、信号はパルスカウンタで計数される。パルスカウンタの積算値は変換係数によって放射線量に換算される。
図3.2.6-2 熱ルミネセンス線量計測定システムの構成例
3) 光刺激ルミネセンス線量計(OSLD:Optically Stimulated Luminescence Dosimeter)
酸化アルミニウムなどの蛍光材に放射線を照射し、光で刺激すると照射した放射線量に比例して蛍光を発する性質を利用した線量計である。
OSL線量計はパッシブ形積算線量計の1つで2000年頃からフィルムバッジに代わって普及した。
一般に普及しているOSL線量計は検出素子に酸化アルミニウムを用い、線種判定やエネルギー補償用に複数のフィルタが組み込まれており、X・γ線およびβ線に対して、0.1mSv~10Sv程度まで測定可能である。軽量、小型で温湿度に強く、繰り返し測定が可能だが、読み取りには専用のリーダ(読取器)が必要であり、専門のサービス機関に測定を委託するのが一般的である。
また、OSLOSL線量計は個人線量のみならず環境線量の測定にも利用されている。
図3.2.6-3 OSLD素子とフィルタ(一例)