6-3-2-1 エリアモニタ

 エリアモニタは、施設内外の空間線量率を連続的に測定、監視するための装置で、通常管理区域内の数箇所に検出部を設置し、放射線管理室等にて集中的に監視を行い、あらかじめ設定した線量率以上になると警報を発生するようになっている。 空間線量率の測定の結果が、線量率の管理基準値を超えるときや、予想被ばく線量が上記の管理基準値を超える場合は、作業時問の短縮や遮蔽の変更の検討を行なっている。
 エリアモニタの設置場所としては、管理区域内で比較的線量の高い場所、比較的作業時間が長い場所、線源等の保管場所付近、管埋区域の出入口付近等が一般的であり必要によっては、事業所等の境界にも設置する場合がある。
 エリアモニタは主にγ線,Ⅹ線を測定するもの、中性子線を測定するものがある。
 γ線用検出器には、一般的にGM計数管、電離箱およびNaI(Tl)シンチレーション検出器が用いられているが、最近は半導体式も普及してきた。
 中性子線用検出器には、BF3計数管および3He計数管が使用されているが、最近はエネルギー特性を考慮し、ポリエチレン滅速体と中性子吸収体とを組み合わせたものも利用されている。
 エリアモニタは、設置場所の検出部と管理室の計測部とはケーブルで接続されており、その長さは数10m~数100m程度である。したがって検出部では、検出器の信号をある程度増幅して計測部へ伝送し、ノイズに強くなるようにしている。
 
(1) 電離箱式エリアモニタ
 電離箱式エリアモニタは、一般的に最も多く使用されている。電離箱検出器は、放射線の量を電離電流で測定する。電離箱式エリアモニタの構成は、図3.2.1-1に示すように、電離箱と信号を増幅するプリアンブを一体化した検出部,信号を単位時間当りの線量で指示する線量率計,電離箱に高圧を印加する高圧電源、各モジュールに電源を供給する低圧電源で構成される。
 電離電流は通常、10-12~10-15A程度であり、これをプリアンプで0~10V程度に増幅する。 この増幅の方法により、エリアモニタは2種類に分類される。
 1つは、プリアンプのアンプゲインを指示計のレンジ切換えによるリニアレンジと、対数増幅器を使用し信号を対数表示するログレンジのものがある。
 電離箱式エリアモニタの指示範囲は1μSv/h程度からであり、エネルギー特性はGM計数管式に比べて良く、基準エネルギーに対して±20%以下である。

電離箱式エリアモニタ構成例

 

図3.2.1-1 電離箱式エリアモニタ構成例

   

(2) 中性子エリアモニタ
 中性子エリアモニタの検出部には、熱中性子と10Bの核反応により生じたα粒子を計数するBF3計数管が使用されている。BF3計数管は、熱中性子に対する感度のみなので計数管をパラフィン等の減速材で囲み高速中性子についても感度を有するようにしている。
 3He計数管を用いた中性子エリアモニタの基本的な構成を図3.2.1-2に示す。
検出部,信号を増幅し伝送するプリアンプ、パルス信号を単位時間当りの計数で表示する計数率計,高電圧を検出部に供給する高圧電源、各モジュールに電圧を供給する低圧電源で構成される。
 ここで指示値は計数率(s-1等)であり、管理単位の線量率への換算を行う必要がある。しかし、中性子はエネルギーにより線量率への換算定数が異なり、通常設置した時にレムカウンタによる線量率とエリアモニタの指示値との関係を求めておき、これにより計数率から線量率へ換算する。

   

中性子エリアモニタ構成例

 

図3.2.1-2 中性子エリアモニタ構成例

   

(3) 半導体式エリアモニタ
 半導体式エリアモニタの検出部には、シリコン半導体方式の検出器が用いられ、その動作原理は、逆バイアスを印加した一種のダイオードの性質に基づいている。検出器が半導体式のため、電離箱式やGM計数管式で用いられる高圧電源が不要となり、図3.2.1-3に示すとおりシステム構成が簡単になっている。

半導体式エリアモニタ構成例

 

図3.2.1-3 半導体式エリアモニタ構成例

 

 (4) その他
 その他のエリアモニタとして、臨界モニタがある。臨界事故を検出するためのモニタであり、複数個の検出器が同時に所定のしきい値を超えたときに警報を出力する。

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