- JEMIMAトップページ
- お役立ち情報
- 技術解説
- 1 プロセス計測制御機器の技術解説
- 1-4 プロセス用監視制御システム
- 1-4-4 PLC計装制御システム
1-4-4 PLC計装制御システム
- 1. 生産管理システム:MES(プロセスコンピュータシステム)
- 2. 分散形制御システム:DCS(ディジタル計装制御システム)
- 3. バッチ制御システム
- 4. PLC計装制御システム
- 5. 伝送システム
- 6. 多点監視制御システム
- 7. その他の専用装置
機械のシーケンス制御専用のコントローラとして、1980年初期に誕生したPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)は、1990年後半になって、LSI技術の急速な発展にあわせて小型化・低価格化および高機能化がすすみ、ループ制御機能を持つようになった。
また、一方ではパソコンの高性能・低価格化がすんだことと相まって、HMI(ヒューマンインタフェース、マン・マシン・インタフェース)としての標準ソフトウエアとしてのSCADA( Supervisory Control and Data Acquisition )の機能充実が重なったことから、パソコンをHMIにしたPLC計装制御システムが普及し始めた。
このPLC計装制御システムは別名で「パソコンDCS」「PC計装」「PLC計装」とも呼ばれている。
4.1 PLC計装制御システムの構成
PLC計装制御システムはプロセス制御装置に広く使われているDCS(分散型制御システム)と同じく、下記の3要素から構成されている。
- 分散型のコントローラの「PLC」
- HMIの「PC」
- これらを結合する「ネットワーク」
DCSの3要素がメーカ・オリエンテッドなクローズドなシステムとして開発されてきたのに比べて、PLC計装制御システムの3要素はオープン化・標準化の中で、メーカにとらわれないことを想定して開発されている。
4.2 PLC計装制御システムへの期待
(1)小規模システムへの対応
PLCは小規模なリレーシーケンスを単独で行う機器を基本単位として誕生した。PLCの実装方法は有接点リレー機器と同じボードに直接取り付け方式である。現場設置の電気ボックス内への収納などにも対応できる。
HMIはパソコンをベースとするが、パネルコンピュータなどを使うと設置場所を限定しない小規模なシステムが構成できる。
DCSに比較して、手軽にシステムが構成できることが特徴である。
(2)オープン・ネットワークによる統合
製造工場には上流の原料受け入れから、製造、保管、最下流の出荷まで各種の製造プロセスがある。各工程のプロセスは連続プロセス、バッチプロセス、ディスクリートプロセスと混在した形でいりこんでいる。生産効率を向上させる視点からは、各種プロセスの機器および装置・工程間で制御レイヤの水平統合をおこない、制御・管理情報を統合すること望まれている。
<オープン化に関する国際規格の動向>
ISAおよびIECでは、製造装置のプロセスを連続プロセス、バッチプロセス、ディスクリートプロセスに分類して、これらの制御・管理システムの標準化が進められている。(ISA/SP95委員会でのS95規格、IEC/TC65/SC65A/JWG15でのIEC62264 ビジネス及び製造システム統合で示されているプロセス概念)
これまでは、装置・工程間の連携は上位の生産管理コンピュータで統合するのが一般的であるが、装置・工程間の異機種コントローラ間でデータ交換ができれば、現場レベルでの協調運転が可能となり、上位コンピュータシステムの排除による設置スペースや管理コストの削減も期待できる。システムの統合の視点からは、現場データを標準形式で蓄積し、自発的・自律的に発信することが必要となり、現場サーバ的な機能が求められる。
一方、制御レベルのネットワークの標準化はIECの場(IEC/TC65/SC65C/WG11;リアルタイム・イーサネット)で情報分野で一般的となったイーサネットを工業用に適合するための規格化(リアルタイム・イーサネット)が進められている。制御ネットワークがオープン化されることで、制御レイヤの水平統合が進められやすくなる。
PLC計装制御システムは、「オープン」をキーにして、PA/FA分野にまたがって発展することが期待されている。
(3)安定操業を実現する信頼性
プロセスや装置の制御・データ収集をおこなうコントロールの領域を担うにはコントローラには、重要度に応じた幾階層化の多様な信頼性が求められる。信頼性を高めるには堅牢なハードウエアに加えて、二重化構成の実現が必要である。また、ハードウエア単体だけでなく、分散配置指向の構造と独立性の高いアーキテクチャにより、危険分散を考慮したシステム構築もできることも重要である。
(4)構築・変更が容易なエンジニアリング
近年、市場の多様化、生産拠点のグローバル化から生産設備を柔軟かつ迅速に変更することが求められている。この観点から制御システムを変更するためのエンジニアリングの容易性への関心が高まっている。
制御システムの設計から実運転までの短縮にエンジニアリング手法の標準化・部品化を推進することが需要である。生産拠点のグローバル化に対応したエンジニアリング手法も国際的に通用するものであることが需要である。
<エンジニアリングに関する国際規格の動向>
IEC/TC65/SC65Bで標準化が進められているPLC言語の標準化(SC65B/WG7;Programmable Controller)、およびIEC/TC65/SC65Cで標準化が進められているフイールド・デバイス・ツールの標準化(SC65C/WG14;Field Device Tool Interface Specification)などの規格に対応した製品を開発することが近道のように思える。