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6-4-2-5 ガスクロマトグラフ
この動作原理は、従来の検出器である熱伝導形(TCD)や、水素炎形(FID)とは異なり、検出器に放射線源を内蔵し、キャリヤガス(N2またはHe)を放射線源から出る弱いエネルギーのベータ線で照射し、電離によって得られる自由電子でキャリヤガス中の被測定成分ガスのイオン化を誘起させる。このガスを印加電極と集電極で構成されたいわゆる電離箱室(チャンバ)に導いて、その電離電流の大きさから目的成分の濃度を測定するもので、エレクトロン・キャプチャ・ディテクタ(ECD)ガスクロマトグラフと呼ばれている。従来の検出方法では分析困難であったハロゲン化有機炭化水素化合物、窒素系・リン系炭化水素化合物および有機水銀系のキレート合物等の定性・定量の分析に効果を発揮している。具体的にはポリ塩化ビフェニール(PCB)の分析や、植物・農産物への残留農薬の分析に比較的多く用いられているほか、医学の分野にも広く応用されている。
また、近年、持ち運びが可能なように小型化した爆発物感知器、麻薬感知器、毒物検出器等が関係機関で使用されている。
使用している線源は、63Niである。なお、ガスクロマトグラフ用エレクトロン・キャプチャ・ディテクタ(63Ni)は、昭和56年5月に「放射線障害防止機構の設計承認および機構確認」制度の最初の対象機器として指定されている。