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4-2-5 触覚
人間の手は、優れたアクチュエータであると同時に優れたセンサである。人間の手から得られる触覚には、接触覚、圧覚、把持力覚、力覚、すべり覚等様々な分類がなされている。工業的には人間の手の機能を模擬した人間型ロボットハンド、すなわち多数の関節を備えた複数の指から構成される機械の手の機構、および制御に関する研究が多く行われ、各種の触覚センサの研究開発がなされてきた。ロボットハンドを対象にした力覚センサや、ロボットハンドと対象物との接触面において接触圧分布を測定する圧覚センサは、一部実用化されているが、現状ではまだ研究段階なものが多い。
従来のロボットは、産業用ロボット、極限ロボット等人間と隔離した環境下での使用が前提であったが、今後は高齢化を迎え介護ロボットのような人間協調・共存型ロボットが着目されつつある。これらを実現するためにも、より広範囲な触覚センサの研究開発に期待がよせられている。
ここでは、バリ取り、研磨、精密組立作業等、人間の感覚が必要となる各種産業用ロボットで用いられている力覚センサについて述べる。力覚センサには、ロボットハンドの手首用、指先用等、装着部位により、容量、大きさが異なるが、3軸力(X、Y、Z方向の各力)と各軸周りのトルク、またはモーメントの合計6軸力を測定するものが、一般的である。また、用途に応じ3軸力、4軸力用等の力覚センサもある。検出方法は、負荷される力により弾性体(起歪体)に発生するひずみを、ひずみゲージで各軸力毎に検出する方法が多い。
ひずみを発生させる起歪体は、ロードセル等の単軸の荷重変換器と異なり、6軸力が同時に負荷されるにもかかわらず、各軸力をそれぞれ分離して検出する必要があるため、特殊な構造が採られている。各軸力相互間の干渉が気になるところであるが、干渉を減らす起歪体構造、干渉を減らすひずみゲージの配置等を採用し、さらに、出荷時の試験データを用いた干渉補正処理を行うことにより、精度向上が図られている。
今後力覚センサは、人間協調・共存型ロボットを実現する上でも、より一層の小型化、高精度化、高信頼性化、低価格化が望まれている。