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3-2 周波数・時間測定器&システム
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1 周波数・時間測定器の分類
周波数や時間を測定する計測器は、ディジタル化が最も早く行われた製品である。測定の高精度化、迅速化、自動化、個人誤差をもたないなどの優れた性能をもっている。また、電気信号以外の測定には、各種センサや変換器を用いることによって、容易に測定が可能となる。
ここでは、次の三つに分けて説明する。
a) ユニバーサルカウンタ
周波数や周期などの測定、2 チャネル入力で時間差の測定や周波数比の測定など、多くの時間パラメタ測定ができる。
b) マイクロ波カウンタ
マイクロ波帯の周波数を測定するカウンタで、数十 MHz ~数十 GHz 程度をカバーする。無線通信分野での使用が多い。
c) モジュレーションドメインアナライザ(タイムインターバルアナライザ)
周波数の時間的な変化を観測するもので、ディスプレイには、横軸は時間、縦軸は周波数の波形で表示される。
信号源のジッタの観測や、PLL(Phase Locked Loop)の応答時間の観測などに使われる。
原子周波数標準のような周波数・時間標準器は、カウンタではないが、周波数・時間測定器と密接な関係があるので最後に説明する。
2 ユニバーサルカウンタ(周波数カウンタ)
カウンタの動作原理を図 1 と図 2 に示す。
2.1 基本構成と動作原理
a) 入力部
入力部は、どのような入力信号波形であっても、ディジタル回路に適した一定振幅のパルス波に変換する波形整形機能をもつ。
b) クロック部
クロック部は、通常、10 MHz の水晶発振器を基準クロックとし、その出力を分周して精密な基準時間を作る。また、外部基準入力によって、より安定度の高い基準信号も使えるようになっている。
c) 信号ゲート
信号ゲート部は、スケーラ部へのパルス信号を、ゲート制御部からの信号で制御する回路である。
d) ゲート制御部
ゲート制御部は、信号ゲートの開閉を指令するほか、信号ゲートを開放する前にスケーラ部をゼロにリセットする機能などももっている。
e) スケーラ部
スケーラ部は、信号ゲートを通ってきたパルス信号を積算計数し、その結果を表示する。
図 1 の入力部とクロック部とを入れ替えると図 2 のようになり、周期測定や時間測定が可能となる。
低い周波数は、図 1 の構成では測定けた数を上げることはできない( 10 秒ゲートでも分解能は 0.1 Hz である。)。
周期の逆数は周波数なので、低い周波数のときは、周期を測定してその逆数を演算し、表示することによって測定けた数を大幅に上げることができる。図 1 の直接計数方式に対し、これをレシプロカル方式(図 2 )と呼ぶ。レシプロカル方式のカウンタでは、1 Hz でも 100 MHz でも同じ分解能(例えば 8 けた)で測定することができる。
2.2 測定誤差
周波数カウンタの三つの大きな誤差要因について説明する。
a) ±1 カウント誤差
ディジタル機器特有のもので、量子化誤差ともいわれる。入力信号パルスとゲート信号とは同期関係にないため、同じゲート時間であっても、図 1 のように 4 カウント又は 5 カウントになり、1カウントの誤差が発生する。ゲート時間を長くしたり、補間技術で軽減することができる。
b) トリガ誤差
入力信号に雑音が重畳すると、雑音によってトリガ点が変動する。これを図示したものが図 3 である。
入力周波数が低いと、信号の立ち上がり時間が遅くなり、トリガ点が変動する確率が高くなる。トリガ誤差は、雑音の大きさと入力信号の立ち上がり時間(スルーレート)とで表すことができる。
この誤差要因を低減するには、入力回路にローパスフィルタを設けたり、波形整形回路(シュミットトリガ回路など)のヒステリシスを大きくしたり、雑音が発生する期間だけ出力パルスをマスクしたりする方法がある。
c) 基準クロック誤差
内部基準クロック信号は、水晶発振器を使用し、安定度が 10 -8 程度のものが一般的である。10 MHz のクロックの場合、0.1 Hz の誤差があり得ることになる。
内部クロックを調整したり、外部基準入力に原子周波数標準を接続したりすることで測定精度を上げることができる。