1-2-2 調節計

 調節計はアナログ型とディジタル型があり、アナログ型は空気式と電子式、ディジタル型はマイクロプロセッサを搭載した調節計に分けられる。空気式の計器はもともと構造が簡単であり、長年の改良努力で信頼度も高くなったが、エレクトロニクスの発達とともに空気式から電子式に移行し、コンピュータがプロセス計装の中で使われるようになって調節計にマイクロプロセッサを搭載したディジタル指示調節計が増えた。

 制御動作には2位置または3位置動作、比例(P)、積分(I)、微分(D)の演算を行うP動作、PI動作、PD動作、PID動作のものがある。演算の定数は可変のものと固定のものがある。また調節計の制御信号(出力)には、連続出力のほか、パルス幅出力、接点信号出力のものもある。さらに手動調節へ切り換えできるものがあり、その場合、自動、手動の出力のバランスをとる必要のあるものとないもの(バランスレス・バンプレス方式)がある。

 設定値の考え方には定値手動設定、外部からの信号(たとえば計算機の指令や比率設定器の出力)による外部設定、プログラムに従って時間とともに設定値の変わるものなどがある。また、ほとんどの調節計は、主設定と別に警報用の設定をもち、警報信号を出せるようになっている。

 マイクロプロセッサを搭載して電子式調節計のコンセプトを踏襲したパネル取付形の調節計として、ディジタル指示調節計がある。このディジタル指示調節計にはバッチ制御をもつものもあり、調節計の応用範囲が広がっている。

2.1 電子式調節計

 電子式調節計には、調節計に指示部(入力の全域を指示するものと、設定値との偏差を指示するもの)を付加した形のものがある。このタイプの調節計は、入力の増幅、偏差の増幅、演算などすべてを電子回路で行うものであり、指示や警報回路を制御回路から分離するようになっている。制御回路は、IC化された演算増幅器を主体に構成されており、制御動作も多種のものがある。

 調節計は受信信号と設定値を比較し、その偏差に種々の演算を行って操作端に制御信号を出力するもので電子式の制御動作には主に2位置、3位置動作、比例(P)、積分(I)、微分(D)の演算を行うP動作、PI動作、PD動作、PID動作がある。2種類の制御定数を独立して設定できるもの、さらに制御パラメータの自動設定を行うセルフチューニング(またはオートチューニング)機能を装備した製品もある。これらの機種には汎用バスによるデータ伝送機能を有するものもある。

PID調節計の構成例

2.2 空気式調節計

 空気式調節計には、電子式と同様に記録部と一体化されたもの、調節部が中心のものがある他、変換器部分まで一体になっているものがある。一体形のものは簡易計装に用いられる。空気式調節計の動作原理は、偏位平衡式、力平衡式があり、ベロー、ダイアフラム、コントロールリレー(パイロットリレー:ノズル背圧の増幅器)スプリングおよびリンク機構などで構成される。

空気式調節計の原理

2.3 ディジタル指示調節計

 ディジタル指示調節計はディジタル計装制御システムの中の最小単位のものであり、バッチ混合制御向きなど、レパートリーの拡大が図られている。

 具備する機能が次の3種類に分類できる。

  1. PID調節計(標準形)
  2. 演算機能+PID調節計(プログラマブル形)
  3. シーケンス制御形

 アナログ計器と比較して、機能的にバラエティに富んでいる。また、PIDの定数を自動的に設定するセルフチューニング(またはオートチューニング)機能を搭載したものもある。

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