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【電力量計委員会】取引・証明に用いる電力量計類の型の記号についてのガイドライン(2020年2月27日改定)
2020年2月27日
電力量計委員会
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取引・証明に用いる電力量計類の型の記号についてのガイドライン(2020年2月27日改定)
解説
(1)本ガイドライン制定の経緯
近年、電気計器の多様化が進み、開閉機能等の新たな機能が追加されてきている。また、電子式計器の停電補償機能についても新たな仕様が追加されており、従来から用いてきた型の記号の意味づけでは、対応しきれなくなった。これに対して、2010年電気事業連合会から、電気計器の型の記号の補助記号を用いてこれらに対応する提案が示された。
従来、取引又は証明に用いる電力量計類の型の記号については、関係者が統一化した様式の型の記号を使用することにより、混乱を無くし、型の記号から種々の情報を得ることができるという利便性から、日本電気計器検定所の関係文書に記載されてきた。
しかしながら、電気計器の型式承認業務を行っている日本電気計器検定所が、型の記号の様式の統一化に関係することは、統一化された様式の型の記号が型式承認の要件でないにもかかわらず、あたかも型式承認の一要件であると理解される恐れがあり、型式承認業務に不透明性をもたらしかねないという懸念から、その後電気計器の型の記号の様式について日本電気計器検定所は問わないことになった。
このような事情から、統一化された型の記号を記載した文書が存在しない状態であったが、前述の電気事業連合会からの補助記号による対応提案を機に、電気計器の製造事業者の団体である日本電気計測器工業会電力量計委員会において検討を行い、「ガイドライン」として、制定することとした。
なお、従来の電気計器の型の記号の付け方については、関係者による協議により進められてきたが、その経緯は次のとおりである。
記号の付け方は、電力会社等の電気計器の関係者が電算機を用いて計器管理を行うことから、電力需給計器研究会(日電検、電力会社、製造事業者及び修理事業者の協議機関)において、昭和52年11月から昭和54年5月まで及び昭和55年8月から昭和59年5月まで慎重に審議の結果、同研究会の同意を得て定めたもの及び複合計器の型の記号の付け方について、昭和61年4月及び平成元年9月に同研究会の同意を得て定めたものが基本となっている。
記号の付け方については更に、平成5年11月の新計量法施行により新たに届出製造事業者となった製造事業者固有の記号が、日電検、電事連、日本電気計測器工業会等の関係者の合意で平成8年4月に決まった。平成9年9月には更に、単体計器のうち普通計器の基本記号を4桁から5桁とする一部見直しについて、前述の届出製造事業者固有の記号を決めた際と同様の検討過程を経て関係者の合意を得たものである。
(2)2013年5月27日改定の経緯
近年、電気計器のコストダウン要求への対応及び市販計器の増加・多様化により新規開発・改良開発の頻度が増加しつつある。これに対し、日本電気計測器工業会 平成24年度第10回電力量計委員会において製造事業者から、本ガイドラインの型の基本記号を構成する開発番号(例えば、単体(普通)計器の基本記号(5桁)のうち2,3桁目)がいずれ枯渇する可能性があることから、使用禁止文字を開放することでこれに対応する提案が示された。
従来のガイドラインでは、例えば単体(普通)計器の基本記号(5桁)のうち、2,3桁目は『開発番号を表す算用数字又はアルファベット(D,E,I,J,O,Q,U,W,X,及びZを除く。)を付ける。算用数字とアルファベットは併用してもよい。』と定められていた。これらの禁止文字の多くは銘板誤読防止と思われるが遠隔検針の普及で銘板読取機会が減少すること、目視検針であっても恒常的に銘板型名を確認する機会はほとんど無いことから、電力量計委員会において検討を行い、本ガイドラインを改定した。なお、改定箇所は単体計器のうち、普通計器の2,3桁目、その他の計器の4桁目、分離形計器(受量装置)の3桁目、分離形計器(パルス合成器)の4桁目、さらに複合計器のうち、一体形計器の5桁目、分離形計器又は一体形とみなす計器の3桁目、及び(注2)である。
また、基本記号の1桁目を構成する届出製造事業者固有の記号について、九電テクノシステムズ株式会社は、平成24年1月1日に株式会社キューキと九州計装エンジニアリング株式会社の合併により発足し、キューキが所有していた「K」及び九州計装が所有していた「R」の2種類を承継した。さらに、新規に届出製造事業者となるパナソニック株式会社は届出製造事業者固有の記号として「N」を使用する。
(3)2014年10月31日改定の経緯
昨今、輸入事業者ならびに外国製造事業者が日本電気計器検定所に型式申請する機会が増加している。その際、型の記号に関して、日本電気計測器工業会への問い合せがあり、都度、本ガイドラインは届出製造事業者用であることを説明している。今後も増えることが想定されるため、適用範囲が「届出製造事業者」である旨を追記した。これに伴い、アイトロンが外国製造事業者であることから、「Y」を空きとする意見もあったが、本ガイドライン制定以前(2007年5月16日)に型式を取得した実績があるため、注記を記載して残すこととした。
これまでは、逆方向計量防止機能付き計器と双方向計量計器とは別の型式として扱ってきた。双方向計量計器の需要が増加する中、双方向計量計器において単方向のみで検定を取得したいとの要望があり、日本電気計器検定所と日本電気計測器工業会で整理した。補助記号「T」を「双方向計量又は計量方向を設定可能な計器」の意味に変更し、単方向のみに切替えた場合は、補助記号「T」に加えて、最後に「r」を付加することで、双方向計量計器において、同一型式で単方向計量での検定を認めることとなった。ただし、以下の条件に適合すること。
①型式試験において、双方向計量と単方向計量の切替え動作が確認されていること。
②検定(自主検査含む)前に、双方向計量または単方向計量が確定していること。
③検定封印外から双方向計量と単方向計量の切替えができないこと。
(検定封印内の操作のみで、双方向計量と単方向計量を切替え可能とする。)
④単方向計量に切替えた際、逆電流時の計量パルスは停止すること。
また、日本電気計器検定所から双方向計量と単方向計量の切替えに関する法令解釈が示された。修理時に新品計器と異なる計量機能(双方向計量または単方向計量)に変更することは改造に当たり再製造となる。現状においては、修理時に計量方向の変更はできないこととした。
なお、単方向計量に切替えた際、逆電流時に液晶等に表示する逆動作の動作表示を点滅することは問題ない。
更に、電気事業連合会から、開閉機能の新たな使用形態として、タイムスイッチ機能の有無を補助記号に追加したいとの申し入れがあり、併せて補助記号の追加と意味合いの見直しを行った。
(4)2017年1月20日改定の経緯
スマートメーターの大量導入が開始され国際調達化の流れが急速に進展している。
届出製造事業者以外の事業者による日本電気計器検定所への型式申請実績が増加しており、本ガイドラインは事業者固有の記号として届出製造事業者のみを適用範囲としていたが、空き記号が使用されている実態もあり、適用範囲において不整合が生じている現実がある。
これに伴い、事業者固有の記号が枯渇してきており、事業者固有の記号の位置付けが、あたかも参入を規制するものとして誤解される可能性も否定できない。
本ガイドラインの制定主旨は、「統一化した様式による記号を用いることで混乱を回避し、型の記号から種々の情報を得ることができる利便性を志向する」ことであり、従来の定義・運用を維持することにより主旨との調和が取れなくなることも危惧される。そこで、適用範囲と事業者固有の記号の拡張を検討し、解決を図った。
適用範囲については届出製造事業者のみならず、輸入事業者、外国製造事業者も含めることとした。また、事業者固有の記号は、「0」と「1」はアルファベットの「O」、「I」と誤認の恐れがあることから除外し、数字の「2」から「9」を新たに追加し拡張することとした。
なお、改定後の本ガイドライン運用においては、適用範囲を拡大したことから、日本電気計測器工業会だけでは的確な時点で新規の事業者を認知することが困難であるため、以下に示す2点を新たに留意し、日本電気計測器工業会が日本電気計器検定所にその運用を確認済である。
①日本電気計器検定所は新規事業者に対して本ガイドラインを紹介する。なお、事業者固有の記号で英字に空きがある場合は、
優先的に英字の使用を推奨する。
②選択された事業者固有の記号は、型式承認後の公知の事実となった時点以降で本ガイドラインを保守している
日本電気計測器工業会に新規事業者が連絡する。
2015年5月に埼広エンジニヤリング株式会社より申し入れがあり「U」を使用することを了承し、本改定に反映した。また、改定時点において使用されている「D」を大同日本株式会社、「Z」を細田貿易株式会社として追記した。また、本改定に伴い、適用範囲に示す事業者の定義を変更したことから、2014年度改定の経緯に記載のあるアイトロンに関する注記を表2から削除することとした。
(5)2018年11月9日改定の経緯
近年、太陽光発電システムの広まりに伴い買電用計器の設置も増加している。電力買取契約には、余剰電力買取契約と全量電力買取契約があり、前者は需要家側が太陽光発電した電力から需要家が使った電力を差し引いた分を買い取る契約であり、後者は太陽光発電した全ての電力を買い取る契約である。
余剰電力買取契約の需要家については、従来、2台の「逆方向計量防止機能付き計器」を設置し、それぞれの計器で売電と買電を計量していたが、昨今は、スマートメーターなどの「双方向計量計器」1台で計量する運用に変わってきている。新設で「双方向計量計器」を設置する場合には、順方向電力が需要家への売電、逆方向電力が需要家からの買電となるよう「双方向計量計器」のS側を系統側、L側を太陽光発電システム側に配線している。また、2台の「逆方向計量防止機能付き計器」で計量している既設需要家において検定有効期間満了に伴う失効替工事などで計器を交換する場合には、既設の売電用計器を「双方向計量計器」に交換し、既設の買電用計器を撤去することで、新設の場合と同じく「双方向計量計器」の順方向電力を需要家への売電、逆方向電力を需要家からの買電としている。
全量電力買取契約においても、新設の場合には、余剰電力買取契約の需要家の場合と同じく逆方向電力が買電となるよう「双方向計量計器」のS側を系統側、L側を太陽光発電システム側に配線している。(一部電力会社を除く)
しかしながら、既設の全量電力買取契約では、「逆方向計量防止機能付き計器」を用いた買電用計器のみで計量しているため、S側が太陽光発電システム側に、L側が系統側に配線されており、「双方向計量計器」にそのまま交換してしまうと、新設の場合と逆の計量方向(順方向が買電)となってしまい、上位システムの情報に混乱を来す原因となる恐れがある。既設配線の入れ替えは配線長等の制約もあり難しく、この課題を解決するため、順逆を通常の計器と逆に計量する「計量方向の設定を反転した計器」が必要となった。
この「計量方向の設定を反転した計器」は、その外観などが通常の計器と大きくは変わらないことから、混乱が生じないよう型の記号で識別するべきと判断し、日本電気計測器工業会電力量計委員会にて審議を行い補助記号(①計量に関係する記号)として「X」を割り当てることとした。また、補助記号は4字を超えない範囲での運用を想定した。なお、「X」は配線の特徴(クロス配線)および反転計量という特徴を推定しやすいものとして選定された。
(6)2020年2月27日改定の経緯
2020年2月に株式会社あすかソリューションより日本電気計測器工業会に日本電気計器検定所の型式承認を取得した電力量計に製造事業者コード「J」を使用したことの申し入れがあったため、製造事業者コード「J」をあすかソリューションとして追記した。
以上